私は三浦しをんさんの小説が好きです。知らない方は俳優の宮崎あおいさんや松田龍平さんがでた映画の「舟を編む」を知ってますか?その作者さんです。
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三浦しをん作品が好きだ!
素人がこんなことを言って何様だと言われるのを覚悟で言うと、彼女の作品は私の中では波があります。心に刺さる作品と印象にあまり残らない作品が結構ハッキリと分かれます。
大好きな人でも人間だから目に付く欠点って必ずでてくるじゃないですか。でも好きだからそれも含めて全部好きになる。みたいな...全然違うか。笑
とにかくそれでも三浦しをんさんの作品が好きということを伝えたかった!
彼女の作品にはそれぞれ「愛」を感じます。そして、彼女が作品の中で紡ぎだす愛の形が大好きなのです。ニヤニヤして読んでる時が多々ある!
「ののはな通信」の感想が書けない...
今回感想を書く予定でいる「愛なき世界」の前作「ののはな通信」を語る時間をちと下さい。
かなりザックリ言うと女性2人の20年間におよぶ生き方を手紙やメールのやり取りのみで描いたもの。数日間現実世界に帰ってこれなかったくらい愛とはなんぞやと考えさせられる作品でした。
感想を書きたいくらいでしたが、この本は読み手の人生の経験値やキャパ、偏見、固定観念など色々な観点から賛否両論ありそうだったし、私のペラペラ人生では語れないと思ったのでやめました。
愛なき世界よりも震えたのは実はこっち。でも選んだのは読んだ後に清々しかったからかな。
愛なき世界
あらすじはわたくしお得意のHPからパクる!
引用:中央公論新社
あらすじからだいたい察しがつくように、「愛なき世界」とは「愛を感じることがない植物の世界」。個性豊かな面々の淡々とした生活を描いている物語。
没頭できる何かがあるということ
この本を読むと、一途に没頭できる何かがある人は幸せだなって思います。
話はそれますが、今の世の中は多様化を認めることで確かに生きやすくなったように見えるけど、生きづらさと表裏一体のような気もしてます。
選択肢が沢山あるという事はそれだけ迷いも生じるもの。ただでさえ気持ちなんてブレるのに、特に自分のやりたい事がハッキリとわからない人にとっては、他の人がしている事を見聞きすると全てがキラキラした世界に見えて自分の人生はこれでいいのかと悩むことが多くなるのではないかと思うのです。
例えば「あなたの将来は歌舞伎役者だ!」「あなたの結婚相手は◯◯だ!」など、人生のレールが決められている方が意外に生きやすい人もいるかもしれない。
自分の人生を紙に書き出してみた
本で読むと登場人物たちの人生が輝いているように見える。でもね、インスタ映えなんて無縁な地味〜かつ変わり映えしない生活を淡々と送っています。
だから!本ではないが、私も自分の人生を文字におこしてみた。暇人です!
文字だけでみたら色々な意味で激やば。笑
みなさんも是非思うままに書いてみて下さい。見せるのも恥ずかしいくらい大概アホな人生ですから。
そんなあなたのアホ人生も端から見たら「いとおかし」って言う人いると思います。でも基本淡々と毎日を生きてますよね?
つまり、みんな目くそ鼻くその大差ない生活だと思うのです。
キラキラ世界が続いたらいいけど、みんな「脳内飛び蹴り」したいくらいの人いないの?私はいっぱいいる!
先が見えないつらさ
目くそ鼻くそってわかってても、人生がうまくいかない時ほど周りが眩しく見えちゃうものですよね。
やりたい事がわからない人、行き場のない虚無感に悩んでいる人、愛が見つけられない人。今悩んでなくても、いつかはぶち当たる壁のような気がします。特に年齢を重ねるほど悩んでしまうもの....
この本でも、やりたいことが明確な人たちが羨ましい限り。でも悩みはある。特に女性はね。恋愛も結婚もしたいと思う気持ち。親からの結婚、孫プレッシャー。周りと比べられて、その気持ちに応えられない葛藤とか。
三浦しをん作品が好きな理由の1つには、言葉では言い表せない女性特有の思いというか扱われ方というか、表現されてる作品が多いところにあります。
愛なき世界でも研究で凡ミスを犯してしまった本村さんが悩み、全てがパーになるかもしれない恐怖に陥る場面があります。(本村さんにとって研究は人生そのもの)
それでも、先が見えない恐怖を抱えたまま彼女の場合はそのまま突き進むの。
私も悩むときは悩む!そして高確率で円形脱毛症になる!笑
作中に、人間は、脳と言語に捕らわれすぎているのかもしれない。〜略〜人間だからこその醍醐味だろうけど、見かたを変えれば脳の虜囚とも言える。鉢植えの植物よりも、実は狭い範囲でしか世界を認識できない、不自由な存在。という箇所がありますが、そうそう、まさにこの状態でのたうち回るの。
自分と向き合う事が一番難しい
作品を読んで思うのは、藤丸くんの恋が実るとかそんなこた〜どうでもいいの。それよりも、登場人物たちが悩みながらも常に自分と向き合っている感じがとても清々しい。そして他者に刺激され、目に見えない「愛」を感じながら成長していく様がいい。
周りにいませんか?いまだに勝ち組・負け組と他人をジャッジする人。他人のことを言うのは簡単だけど、自分と向き合うのは難しいってことなのかもしれないですね。
これまた作中に「(植物は)行く手に死が待ち受けていても、どうしてみんな、暗闇ではなく光を生きる糧とするのか」という箇所があります。
そうだ!宝くじだってそうじゃろが〜い!
ほぼ当たらないという爆死覚悟で、億万長者の夢を糧として買い続ける!当たらなかったら買うまでよ。買った者にしか夢を語れるチャンスがないように、人生だって悩んで前に突き進んだ者にしかわからない何かがあるんでなかろうか?
一生何もわからなかったら?
知らん!宝くじも最低10%は還元されるわけだし、悩んだ分だけ15%くらいは還元されるさ。ゼロはない!最終的に人生のネタになったわくらいの気持ちで私はいく!
とか偉そうなこと言ってるけど、解決できないときは、仕方ないから何も考えないようにひたすらテトリスしてるんです。円形脱毛症の輩がテトリスってすごいシュールな絵ですよね。笑
そして愛が見つけられない人、愛の状態ってなんでしょう?愛される事?愛する事?結婚すること?子供がいること?パートナーが常にいること?寂しくない状態のこと?
最後に料理人の藤丸くんが「愛なき世界」を生きている植物に魅せられた本村さんに言うの。
「知りたい気持ちを「愛」って言うんじゃないですか?」
三浦しをんさんの作品を読んでいつも思う。愛っていうのはもうあるものなんだ。たぶん。愛が見つけられないと嘆いている人は、その見つけたいと思う気持ちの中にもう「愛」があるじゃないか!たぶん。なんくるないさ〜。
本村さんが言ってるよ。「結局、地球上の生物はみんな、光を食べていきてるんだなと」ってさ。みんな一緒だー!