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ガリバー旅行記の原作を読んだら、人間に対する作者の嫌悪感が爆発していた!

ガリバー旅行記といったら何を思い浮かべますか?

ガリバーが小人の国に流れ着いて無事帰りました。めでたしめでたし!

だと思っていませんか?

「旅行記」だから小人の国だけではないのです。

原作を読んだら童話の小人の国はどうでもよくなります。
それくらい他の国の話が面白い!!

今回はそんなガリバー旅行記の原作の魅力をお伝えします。

ガリバー旅行記は一言でいうと作者の皮肉がギューーーッと詰まってる話。

人間に対する皮肉、政治に対する皮肉。そして女性へも。。。
およそ300年前に書かれたにもかかわらず、現代にも通ずるものばかり。

ガリバー旅行記が小人の国に流れついた話で終わってるなんてもったいない!
特に第三話からがおもしろすぎる!

女性批判が容赦ない

例えばこんな文章。

ある国での、「自己評価している美点に対して課税するべきだ」という提案。
例えば、男性でも女性でも容姿、スタイル、好意をかちえた異性の数などが評価の対象。

しかし、女性に対しては貞節、純潔、良識、善良さは評価の対象外だといいます。
なぜなら徴税できるほど存在しないだろうから。笑

ちょこちょこ女性に対する批判が垣間見えるんですよ。

女性で痛い目をみたのかな?とか想像して笑っていたのですが、作者であるジョナサン・スウィフトは幼い頃、母親に悪い言い方をすると捨てられたそうなので関係しているかもしれませんね。

第三話はまさに今の日本!

私が好きな第三話からの話をかいつまんで話します。

今の政治を皮肉っているような話

ラピュタと呼ばれる浮遊島がでてくる回での話。

国は全く豊かにならないのに、働かされる住民たち。

しかし研究所では、いかに国を豊かにするかというアホみたいな研究を永遠と閉じこもってしている研究員たちばかり。

本当の国民の姿を知らず、国会でグダグダくだらない討論をしている政治家たちの姿とダブります。

長寿大国日本を表現したような話

次に登場する不死の人が存在する国においては、まさに現代の長寿国日本に対しても言えるかのような内容。

ガリバーは不死と聞いて、死に怯えることもなくなんて素晴らしいのだと、自分が不死だったらこうもしたい、ああもしたいと目を輝かせて語ります。

それを冷ややかな目でみるその国の住民。

他国では多くの人がどれだけ長く生きても、さらに1日でも長く生きたいと願い、死はまるで悪だと思っているというのです。
しかし、この国の人は不死の辛さがどんなものかわかるから生命への執着がそこまで強くないといいます。

ガリバーが語る「不死だったら」という望みは、若くて、健康というのが前提。

実際は年老いたまま永遠に生き続け、次第に頑固で気むづかしくなり、行き着いた先に待っているものは若者の奔放さと死んでゆく者への嫉妬だけ。

実際に不死の人と会ったガリバーが彼らから言われたのは遠ましに「お金をくれ」ということ…

ガリバーは一気に永遠の生への興味を失うことになるのです。

「死」に怯えている人は多い?

人間の死生観は人それぞれですが、「死」という漠然とした概念にとらわれている人は少なくないのではないでしょうか?

私事になりますが、みんな何に興味をもっているのだろうとグーグル先生に聞いてみたことがあります。

「何やってるんだよ暇人め!」というご指摘はさておき、「知りたいこと」と検索ワードで調べるとその中で有名な「発言小町」でおもろいトピックを発見しました。

もし、神様に「1つだけ自分自身について知りたい事を教えてあげよう」と言われたら、皆様は何を教えてもらいますか?

というもの。

「叶える」ではなく「教えてもらう」

私自身その問いに真剣に考えてしまったのですが、他の人の答えで圧倒的に多かったのが「寿命を教えてほしい」でした。
それほど人間が潜在意識で「死」を考えていることがわかります。

次に多かったのは馬券、宝くじなどのお金系。

読みながら発言小町を思い出しました。笑
みなさんは何を教えてもらいますか?

第四話は人間の醜さ

第四話にでてくるのは、理性ある馬が支配する国。

逆に人間によく似た動物が卑しく忌み嫌われる対象としてでてきます。

馬が支配する国では権力、戦争、政治というものが存在しないのです。
そして「ウソ」という概念が理解できないのです。

第四話ではいかに人間が愚かな生き物か馬の世界を通して語られています。

ウソに始まり、強盗や殺人などの行動、醜い嫉妬や情欲といった感情ははこの世の生き物の中で人間にしかないもの。
こんな当たり前のことに改めて考えさせられるのです。

「理性の堕落こそはけだものならではの残忍さよりも恐ろしいものではなかろうか」
作中で出てくる馬が言うこのセリフ。まさにです。

面白い箇所はいくつも登場するので書いていたらキリがないのですが、角川文庫での「ガリバー旅行記」384ページからの国家を担う宰相(総理大臣)の皮肉り方がピカイチすぎて是非立ち読みでも何でも読んでほしいです。

国からかすめとった莫大な富を抱えて公職から退く。

人間の性

ガリバーは生きて故郷に帰り、妻子と再会するたびにもう航海はやめようと思うのです。
でもまたその幸せが当たり前になり、刺激を求めるように再び航海にでては後悔するのです。

これも人間の性ですよね。

そして私がガリバー旅行記の原作を読むきっかけになったのは京都大学出身の年配のおじさんに読んだ方がいいと言われたから。

「賢い人が勧める本に間違いはないっ」と。

これもまた学歴に弱い人間の潜在意識。しょーもない人間の性。笑

人間が住むこの世界を遠回しにこれでもかっと言わんばかりに皮肉ったガリバー旅行記、ぜひ読んでみて下さい!
原作には数ページですが日本の事もでてくるのでおぉってなります。

そして、最後まで読んだ私の感想はガリバーの奥さんが一番悲惨!
最後そうきたかっ!って...。

ジョナサン・スウィフトの晩年は心神能力喪失者と言われていたらしいのですが、なんか納得できます。。。

ジョナサン・スウィフト (著), 山田 蘭 (翻訳)