短編漫画「兎が二匹」で考える「生と死」

私は人間が生きていく中で永遠のテーマは「生と死」であると思っています。

小学生の頃、家族や親しい人が死んで自分1人だけ生き残ったらと思うと怖くて眠れなかったことがよくありました。
今は全くそんなことはなく一瞬で寝れますが。笑

皆さんは長生きしたいですか?不老不死で絶対に死にたくないですか?

今回ご紹介する「兎が二匹」は「生と死」を考えさせられる泣ける漫画です。

あらすじ

主人公の稲葉すずは年齢398歳、不老不死の体をもち、常に死にたいと思いながら生きています。

そんな彼女には恋人の宇佐見咲朗という男性がいますが、付き合うのに毎日殺すよう条件をつけます。

それでも生き返ってしまうのですが、自分を傷つけることで過去の苦しみから一瞬でも逃れることができるすずと、すずが大好きで一生共に過ごすことを願う咲朗。

ある時すずは死刑になる道を選び、咲朗に別れを告げます。
1年後、すずが再び自由の身になった時咲朗はすでに亡くなっていました。

すずはその後どう生きていくのか…?

みたいな話です。

苦しみと幸せ

すずは約400歳なのであらゆる時代を生き、その時々の苦しい思い出を引きずりながら生きています。

漫画なのでその設定に突っ込んではいけません!

すずは咲朗に会うまで「苦しいこと >>> 幸せなこと」すぎて自分の幸せに実感がないのだと思いました。

だからこそ咲朗の愛さえも苦しいことに押し潰されて見えなくなっているように見えるのです。

でも私たち人間も生きていく中で周りに言わないだけで苦しいことって沢山ありますよね。
ずっと幸せな人は羨ましい限りですが、大なり小なり辛いことが襲ってきて苦しくなることのある人の方が多いと思います。

年配の人が今の若いもんは忍耐力が足りないとか、自分たちの若い頃は…など言う人がいますが、心の中では...

知るかっ!この時代はこの時代で苦しいんじゃ!
昔と今を比べるな!”苦しいの基準”は個人が決めるんじゃ!

と激しく思うわけであります。笑

生きていくこととは?

すずが抱えている苦しみの1つに、自分のせいで死んでしまったと思っている少女がいます。

人に心を開くことが少ないすずの唯一の親友でした。
その彼女の発言がいいな〜と思った場面があります。

「新しいも古いも好きよ。肌に合うほうを選びたい」

生きることの息苦しさの1つには他人の固定観念があると思っています。

人それぞれの考えがあるということは皆頭ではわかっているけれど、それでもそれに対するある一定の型にはまった概念が存在することがあります。
それにはまらない自分、それを言ったところで理解してもらえないから言わない。

私自身も人に言わないことが多々あります。

みんな「肌に合うほうを選べばいい」と思うのです。

私個人の意見ですが、みんな良い意味で他人に無関心になってほしいと思うことがあります。

最後まで読んで思った事はすずはきっと苦しいことを抱えながら「肌に合うほうを選んだ」のだと思います。

彼女にとっての苦しみ、幸せ、肌に合う人生、人に理解されなくても貫くことで、それが自分の望んだ結末ではなくてもそれは彼女の人生。
自分の人生なのです。

死があるから一瞬一瞬を大事に生きなければいけないと思わされます。
生があるから苦しみ、幸せがあって、それと向き合ってどう生きるか、どう肌に合うほうを選ぶのか自分で決めて生きればいいと改めて思わされました。

あ〜しかし泣いた!

山うた(著)